基本再生産数との出会い
高専は3年で卒業できないけど、3年間やると、とりあえず高校の卒業資格をもらえるんで医科大学を受験するんだと方向転換しました。
宮崎医科大学に運良く入れて頂いてお医者さんにしてもらいました。救える命があればどこまでも行くNGOのAMDAの人が、普段は国際協力をやってる方が多く、インターンの医学部生にスタディーツアーしてくれださったりとか、自分から頼み込んで寝泊まりを一緒にさせてもらって、勉強するっていうのを受け入れてくださってたんですけど、1990年代の最後の頃、中国の特に西部とかでは。ポリオの撲滅プロジェクトをやっていたんで大学の4年生の時に参加しました。
集落に入って、予防接種の目標みたいな設定を村の人と話して、この設定した目標に達していないからこうするべきだなとか、設定したところがうまくいってたので、後はちゃんとワクチンの効果を見てモニタリングしていかないと。何て言うの一個一個しらみつぶしに確認していくようなプロジェクトだったんですけど、そこで、数式が出てたんですよ。
この数式が、予防接種とポリオの蔓延度や相関関係、メカニズムの関係が数式になったものでした。ポリオの流行る可能性がある地域に入って、予防注射や予防接種をどのようにすべきか、ポリオの感染性を表す基本再生産数の式だったのです。
基本再生産数とは、1人当たりの感染者が生み出す2次感染者数のことを基本再生産数っています。1人の感染者がド~ンとある集団に入ってきた時に、例えば、3人が感染者を次に生み出すんだったら、基本再生産数は3になります。
この3という数字は、予防接種率の目標値に直結する数字だというのをそこで知ったのですけれども、その基本再生産数が3だということは、裏返しで考えると、予防接種率が基本再生産数の逆数よりも少ないだけの割合の人を、まだ感染している状態で残すぐらい高ければ、うまく感染症制御できるのです。
もうちょっと詳しくいいますと、基本再生産数が5だとしますよね。本来1人が生み出す2次感染者だったはずの人たちが、仮に、予防接種で5人のうち4人が、予防接種をして防がれてるとすると、残り1人しか伝播しませんよね。
あるいは、その予防接種率が4/5よりも高ければ、1人当たり生み出す2次感染者数は1を切るんですよ。その基本再生産数っていうのは、ある種「ねずみ算式」に感染者が増えるかどうかっていうのが、決めるものなんです。1人当たり5人感染してるなら、どんどんどんどんと感染していきますよね。
つづく
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