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スプーン曲げ

ラジオで聞いた話。



30年くらい前、私が、学生の頃の話です。その日は、特にすることもなく、私は今でぼーっとテレビを見ていたのですが、当時、大ブームとなっていたミスターマリックさんが、テーマソングとともに登場してきました。

母は、隣でアイロンがけをしています。さあ、テレビの前の皆さんもスプーンを持ってください。今から私からハンドパワーを送ります。退屈だったので私はスプーンを2本持ってきて、アイロンをかけていた母に、一緒に曲げようよお母さん、とスプーン曲げを始めました。左手の親指と人差し指で、スプーンの柄の細い部分を軽く持ち、力を入れずにさすりながら二人で念じています。

しかし、予想通り私のスプーンは、全く曲がる気配はなく諦めかけた時、隣の母がそれほど大きくない声を出して、ほら、見て、曲がったわと見事にヘの字に曲がったスプーンを差し出しました。

何かをしたのではないかと疑うのが、普通なのですが、母は、子供の私から見ても少し変わったところがあり、昔から部屋に幽霊が出てきただとか何だとか浮世離れと言うかとにかく、少し不思議な人でしたので、私も心の中で、まあそういうことがあるのかもしれないなと冷静に受け止めながら、お母さん、すごいなあもう一回やってお。と私のスプーンを渡してお願いしました。

するとちょっと待ってよ。と言いながら、スプーンを片手に集中し始めます。1分もしないうちに、スプーンが明らかに柔らかく曲がりだし、次の瞬間くにゅっとネジ曲がりました。それこそ、信じるか信じないかは、お任せしますが、少なくとも母は、真面目な人で急に手品で、押し込むような人ではありません。私は、目の前の現象を素直に受け入れ、改めて、お母さんすごいと心底感心していました。

母は本当に曲がる気がするのよ。といいます。その後、私も何度か挑戦してみましたが、全く曲がる気配もなく、夕食を作り出した母に、もう一度曲げてくれとお願いをします。フライパンを右手でゆすりながら、左手にスプーンを持ち、今度は特に集中する様子もなく、片手でスプーンをさすり始めますす。

フライパンを右手に持ちながら片手間でやっちゃう、3回目ともなると大したもので、もう来てるわと言った次の瞬間、スプーンを曲げていました。

まもなく、帰宅した父に、私は興奮気味にお母さんがすごいことになってるよ。お母さんがすごいことになってるよ。ちょっとお父さん、見たよと母を連れて行き、母にスプーンを渡しました。

父は母とは正反対で、理屈に通らないことや不思議なことは全く信じない性格の人です。

そしていよいよ、今日4回目の母は、意気揚々と見事にスプーンを曲げに無邪気な顔をしています。家は目の前30 CM のところでスプーンが曲がるのを目の当たりにしながら、こんなことあるはずないだろう。と冷めた言葉を残し着替えに入ってしまいました。

母の方を振り返ると母は、ふいっと、不満げな顔して、この能力封印するわっていい残し、寂しげに台所に戻ってきました。その姿が、女の子のようでどこか可愛らしかったのを覚えています。


今日は朝のTV番組でマリックさんの生マリックしていました。わらったょ。




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