赤プリ
東京都千代田区紀尾井町。赤坂見附から弁慶堀をまたぐ橋を渡って、すぐ右手にそびえる巨大なビルが、東京ガーデンテラス紀尾井町です。飲食店やショップが並ぶなど今やこの界隈のランドマークとなっています。
この大型複合施設は、グランドプリンスホテル赤坂の跡地に作られました。
『赤プリ』の相性で人々に親しまれてきた赤坂プリンスホテルの開業は、1955年。
その後、代々木第一体育館や東京都庁で知られる丹下健三が設計を手掛け、高さおよそ140 M 地下2階40階建ての新刊が1982年に完成し、翌年開業します。
全室が角部屋という斬新なデザインと都心を一望する眺望が有名でバブルの頃には、トレンディスポットとして人気を博し、バブル景気を象徴する高級ホテルとなりました。特に、クリスマスイブの夜は満室となり、部屋が取れないため相手もいないのに1年前から予約をする男子もいたそうです。
ホテルの営業を終えたのは、開業から56年を経て2011年3月。建物の解体は、その年の9月から始まる予定でしたが、奇しくも3月11日に発生した東日本大震災によって、7月9日から6月30日までのおよそ3ヶ月間福島県民の受け入れ施設として利用されました。
そのため実際の解体作業は翌年の6月から始まったのです。ビルの解体と言うと、爆破して、一瞬のうちに瓦礫の山にする。海外映像のイメージがありますが、日本のビルは柱と梁が強固に接合されているために爆破しても崩れ落ちるように解体できないのだそうです。
解体を請け負った大成建設では、スタイリッシュな赤プリのイメージを保ったままスマートに解体するテコレップシステムと呼ばれる解体工法を採用したのでした。
これは、最上階の外周に防音パネルを取り付けた足場を吊り下げ蓋をしたような閉鎖空間を作り、この空間内で鉄骨柱や梁床などを重機やガスの熱で溶断しながら解体を勧め、屋根をジャッキダウンして建物を縮めていくのです。
日本生まれの超高層解体技術は、動画投稿サイトにもその様子がアップされ、世界中の人々が賞賛を送っています。
赤坂プリンスホテルの見えていたのですが、外観の美しさを損なわないまま日に日に巨大な建物が縮んでいく様子が、まるで時間が巻き戻されているようでした。
バブル景気を知る世代にとって、あの時代の象徴であった赤坂プリンスホテルは、関西でゴージャスなイメージを保ったまま静かに華麗に姿を消し、そして感動すら覚える解体工事は、今もなお語り継がれているのです。
#赤坂プリンスホテル #紀尾井町ガーデン
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