基本再生産数との出会い その②
ところが、予防接種がうまくいって、その5だったら1/5未満の人だけが、感染している状態にしてると、1人当たりの感染者で生み出す2次感染者数は1を切るんです。そうすると減衰していくのです。
4人以上予防接種が効けば、1を切るからそれと感染の伝播を切って、どんどんどんどん自然に感染者数減衰をするっていうことが分かっていて、それを表す1つの不等式の方程式だったんです。
ですから、集落ごとの予防接種率をもとに、ポリオで基本再生産数5を使い、1/5よりも大きいかどうかっていうのを見ることで評価をしていたのです。
その数式は、単純な1つの不等式だったんです。その1/5を達成してる集落だと感染流行が起こってないんですよ。5人のうち4人予防接種を受けていたとしたら、残りの1が感染する可能性はありますが、もっとうまくいって行きさえすれば、1以下にできれば、または、1人のポリオ患者が感染する相手が1以下だとすれば、世の中に感染して行くスピードと量は急降下します。それが、うまく現実で見える、流行のあるなしと対応してることに衝撃を受けたんです。
生物の分野から医学部に入った私は、一つ物理現象を数式で書くことに区切りをつけたつもりだったんですけど、数式が人口レベルで、人に感染していく仕組みが綺麗に記述できるっていうのを見てまあびっくりしたんですね。
これは、『人と感染症』(フォックスフォード大学出版)700ページぐらいある分厚い本の中にあった一つの数式だったんです。数式だけで埋め尽されている専門書で、これを導出する過程で700ページぐらい書いてありました。
気になる新型コロナウィルス感染症ですが、WHO(世界保健機関)によると基本再生産数R0値は、1.4から2.5程度と推定されています。インフルエンザは1から2程度とされているため、新型コロナウイルス感染症はインフルエンザよりもやや高いですね。
あとで取り上げますけど、基本再生産数R0値が低いほど、重篤化する傾向が強いので安易に考えない方がいいです。
あのクルーズ船は、「IASR 特集 - 厚生労働省-戸山研究庁舎」の報告では、基本再生産数は4~7である(麻疹は12~18、風疹は5 ~8)とあります。
うむー、西浦博さん。型物か?
つづく
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